贄の町新聞
贄の町新聞(タイトル)

  • 開幕
  • 後日譚
  • 外伝
  • いふ


『贄の町』を彩る
6人が紡ぐ過去の物語。



シロの鬼哭
シロの鬼哭

"贄の町"が作られてから幾百年後の未来。
時代が進むと共に少しずつ人が増え、
その度に、価値観、文化、景色、暮らし方
――何もかもがゆっくりと変わっていった。

その中で唯一変わらない子供の姿のままの黒定は、
赤い瞳で白介が幸せになる未来だけを見据えていた。

クロの開闢
クロの開闢

時は戦国室町時代。
田舎の片隅で、白髪と赤い瞳を持った双子が産声をあげた。
その容姿は村では不吉の前兆とされ、
産まれてすぐに殺さなければならない決まりだったが、
夫婦は我が子を手に掛ける事が出来なかった。

時は流れ、白介、黒定と名付けられた双子と両親は
村の人間に忌み嫌われ、貧しい生活をしながらも
村の外れで幸せに暮らしていた。
あの日までは……

――これは、大家さんが"贄の町"を作るまでの昔話。

藤小町の後悔
藤小町の後悔

現役の刑事である小町は、
甥の雪平が実の父親に性的虐待を受けている
現場を目撃し、現行犯で逮捕した。
保護した雪平を引き取れそうな人間は身内にはおらず、
自分も職業柄忙しく、何より子育てなんてした事が無い。
それなのに――死んだような目をして
途方にくれる雪平を見ていられず
気付けば「一緒に住むか?」と口にしていた。

宝財極燈の憂鬱
宝財極燈の憂鬱

家柄、学力、美貌の全てを持ち併せ、
将来を約束された宝財極家の御曹司の燈。
ただ一つ、彼には仄暗い嗜好があった。

次の獲物はどうしようかと考えている最中、
ついに燈は見つけてしまう。
運命のエンジェルを――

空五倍子都々之江の残夢
空五倍子都々之江の残夢

長年両親から壮絶な虐待を受け、
存在を否定されながら育った都々之江。
激しい暴力を受ける日々の中、
とうとう通報が入り保護される事になった。

保護された先で都々之江を待っていたのは、
児童養護施設での新しい生活。
まともな教育を受けてこなかった都々之江にとって、
新しく覚えなくてはいけない常識や人間関係、勉学等、
面倒だと感じる事ばかり。

その中でも特に煩わしいのが、相部屋の少年笑男。
何かと自分を気にかけ、"家族"だと笑う笑男が
都々之江はただただ気持ち悪くて仕方がなかった。

清澄沙汰の至福
清澄沙汰の至福

男癖の悪い母、仕事人間の父との間に産まれた沙汰。
自分の事にしか興味が無い両親は、子供への感心が無かった。
でも、それが普通だと思っていた。

そんなある日、弟の日天が産まれる。

それから母はよく家にいるようになり、
父も早めに仕事を終わらせて帰って来るようになった。
沙汰が物心をついて初めて、家族らしい時間を過ごした。

そんな幸せな時間もつかの間、
母は沢山の荷物と共に出て行ってしまう。

「お兄ちゃんなんだから、ちゃんと日天の事見てあげてね」

――と言う言葉を残して。

母親から言いつけられた"兄"を自分なりに演じるも、
正しい"家族"を知らない沙汰は、
日天にどう接していけばいいのか分からず
兄としての立場に苦悩する。