気を失っている間に都々之江に拉致され、
狭く薄汚れた部屋で目が覚めた日天。
その日から、無理矢理犯され、暴力を振るわれる
監禁生活が始まった。
日天が老人に食われかけたショックで壊れて
しまってから一年半。
あすくは変わらず、日天の世話を甲斐甲斐しく
おこなっていた。
その甲斐もあってか、最近日天の様子に少し変化が
出てきたようで――
シロの手をとったあの日から幾星霜の時が巡った。
「贄の町」は宿も町も人間も随分と様変わりをし、
人々にとって、日天と双子は愛し、畏れ、
崇め奉る存在になっていた。
あれから二週間。
燈の部屋で拘束され、監禁状態の日天と成臣は
今日も燈の"ごっこ遊び"によって弄ばれる。
数カ月前からの記憶しか無い日天は、
それでもマスコットとしてすっかり宿に馴染んでいた。
そんなある日、目が覚めると恋人のココがいない。
勝手に部屋を出てはいけないと言いつけられているが、
いつもより戻ってくるのが遅い事を心配した日天は、
ココを探しに部屋を出る。
その途中、最近入居してきた中年男に襲われて――
主人公の清澄日天は、東京の一等地に建つマンションで
兄の沙汰と二人暮らしをしている。
ジムのインストラクターとしての仕事は順調で、
周囲の人間関係も良好。
幼い頃にいなくなった両親の代わりに
日天達を支えてくれる叔母家族。
学生時代からの友人達。
昔助けた事をきっかけに仲良くしている成臣。
獣医を目指す親友のあすく。
最近知り合った笑男と都々之江。
ひょんな事から日天の働くジムに
通うようになったモデルの雪平。
近所にある神社の子供であるシロとクロ。
大好きな兄。
平凡だが充実した生活を送っていたある日、
日天がもの心つく前に蒸発した母が突然帰ってきて――