贄の町新聞
贄の町新聞(タイトル)

  • 戯画01滞在
  • 戯画02帰還
  • 戯画03帰還
  • 戯画04帰還
  • 戯画04帰還
  • 戯画06滞在
  • 戯画07滞在
  • 戯画08滞在
  • 戯画09滞在
  • 戯画10滞在
  • 戯画11陸
  • 戯画12滞在



次へ


日天
「あすく、やめろ!」

あすくと頭を潰された成臣の間に入って、
それ以上の暴力を止める。

振り下ろされかけていたバットは、
俺の肩に当たる寸前で止まった。

あすく
「どけ。邪魔」

日天
「いい加減にしろ! 何でこんな酷い事をするんだ! 
成臣は悪くないだろ!」

冷たい目に怯みそうになるけど、
俺の為にあすくに抗議してこうなってしまった成臣を
守りたい一心で負けじと睨み返したとき――

成臣
……そら……さん……

背後で小さく呻く成臣の声が聞こえた。

日天
「成臣っ? 意識が戻ったのか?」

そうであれば、あすくが落ち着くまでこの場から離れた方がいい。
そう思って庇う体勢のまま背後の成臣に何度か声を掛けた。

成臣
「さん…………、そら……さん……、ひ、そら……さん……
……、ひ……そらさ……、ひそ…………ん、ひそら……さん」

日天
「成臣? 成臣っ!」

だけど、成臣は俺の言葉に反応を返さないまま
ぶつぶつと俺の名前を繰り返す。
どうやらまだ意識は戻っていないみたいだった。

これからどうすればいいのか、目の前のあすくを
なんとかなだめるいい方法はないのか。
必死に考えを巡らせていたとき――

成臣
「ひそらさん……愛しています……

日天
……成臣」

……成臣は、良い奴だ。
こんなに俺の事を思ってくれる友人は、他にいない。
絶対に守ると、改めて強く心に決めた。