成臣
「あ……」
会社を出たところで成臣が立っていた事に、
ただただ驚くしかなかった。
日天
「……」
成臣
「……」
成臣が何で此処にいるんだ?
それに、その格好
……。
頭の中で疑問符がぐるぐる回っている。
成臣も俺が社員と一緒に出てくると考えてなかったのか、
驚いたように目を見開いていた。
先輩
「清澄、知り合いか?」
お互い無言で見つめ合っていたからか、
俺達の顔を交互に見て先輩が尋ねてくる。
俺達の関係は言わなきゃバレる事も無いのに、
動揺から、まとまらない頭で変な焦りを感じてしまった。
だからつい
――
日天
「……知らない、です」
成臣
「……」
咄嗟に口にした言葉に、
成臣は気まずそうに目線を逸らして
背中を向けて帰っていく。
追いかけるかどうかを迷ってる内に、
成臣はタクシーに乗って行ってしまった。
成臣、ごめん。
上手く言葉が出てこなかった
……。
先輩
「人違いか? ……ま、いいか」
先輩たちが歩き始めて、俺もそれについて行く。
けれども、心の中では成臣に対しての罪悪感が
募り始めていた。